徳島港から帰路のフェリーに乗る時、前に並ぶバイクが珍しくて思わず持ち主に声をかけた。


後で知ったが
“Ace CB125″HONDAがナイジェリアで販売しているバイクだ。


その場で、それがマニアックなものだということは一目でわかった。
荷物はそんなに多くはないが、旅の装いが見て取れる。


持ち主の青年に話を聞いた。
我々が乗り込もうとしているフェリーは、19時発。
帰路かと聞いたら、今から出発だと言う。高知の大学生だそうだ。


和歌山港につくのは23時頃になるが、宿をとるのかと尋ねるとそのまま、名古屋まで走るのだという。
ルートはどうするのかと聞くと

「考えてないっす」と、笑った。


世代は違えど、バイク乗りどうし。フェリーに搭乗してからも、話題が尽きることはなかった。

フェリーが港に着き、別れの挨拶を交わす。


「とにかく無理はあかんで」
「はい! ところで、和歌山駅ってどっちすかね? あ、みんなあっち行くんで自分もあっち行きます、では!」
と行って彼は走り去った。

おいおい。大丈夫かよ。


連絡先など交換しない、一期一会。
彼と会うことは二度と無いかもしれない。しかし、動画を作ればひょっとして見てくれるかもしれない。一報でもよこしてくれるかもしれない。


そうしたら、旅の話をまた聞こう。

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